詐欺師らが人工知能(AI)音声ツールを利用してイタリアのクロゼット国防相と同氏のスタッフになりすまし、有力実業家から金銭をだまし取ろうとする事件が起きた。

複数のイタリア紙の報道によると、プラダのパトリツィオ・ベルテッリ会長、ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏、タイヤメーカー、ピレリのマルコ・トロンケッティ・プロベラ副会長、サッカーチーム、インテル・ミラノの元オーナー、マッシモ・モラッティ氏らが詐欺の標的になった。

今回の詐欺は、イランやシリアで収監もしくは誘拐されたイタリア市民の身代金を支払うために、海外への送金を要請するという手口だった。

インテル・ミラノ元オーナーのモラッティ氏は、接触を受けて送金したことをレプブリカ紙に認めた。金額は明らかにされていない。

クロゼット国防相は6日、詐欺師らが「有力な企業家1人」を含む複数の人に接触し、金銭を要求したことを把握しているとソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿。この事件について警察と司法当局に報告したという。

音声のディープフェイクを利用して富裕層や企業幹部らから金銭をだまし取ろうとする詐欺が増えている。昨年7月にはフェラーリの幹部を標的とした詐欺未遂事件が起きたとブルームバーグ・ニュースが報じていた。

原題:Italian Elite Targeted by Scammers Using AI Voice Impersonation(抜粋)

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