2030年、最も重要になるスキルとは
「Future of Jobs Report 2025」では、労働者のスキルについて、2025年時点のコアスキルと企業が認識する度合と、2030年に向けて重要度が増すと企業が予測する度合を軸に、4つの象限に分類している。

最も注目すべき「Core skills in 2030」の象限には、AIとビッグデータ、テクノロジーリテラシー、創造的思考、レジリエンス、分析的思考、リーダーシップと社会的影響力、好奇心と生涯学習、システム思考、人材管理、モチベーションと自己認識といったスキルが位置づけられている。これらは現在も重要であり、かつ2030年に向けてさらに需要が高まると予測されるスキルである。
また、「Emerging skills」の象限には、ネットワークとサイバーセキュリティ、環境保護・環境管理、デザインとユーザー体験、プログラミングなど、現時点ではまだコアスキルと認識されていないものの、2030年に向けて急速に重要度が増すと予測されるスキルが含まれている。
一方、共感と積極的傾聴、サービス志向と顧客対応力、リソース管理といった「Steady skills」は、今後も一定の重要性を保つものの、急激な需要増は見込まれていない。手先の器用さや感覚処理能力などの「Out of focus skills」も、相対的に投資優先度が低いと位置づけられている。
特筆すべきは、AI時代であるからこそ、デジタルスキルと同時にヒューマンスキルの重要性も増すという点である。企業と個人の双方に、これらのスキルトレンドを見据えた戦略的な学習投資が求められるといえるだろう。
具体的には、企業は従業員の継続学習を後押しし、テクノロジー導入や組織改革に柔軟に対応できる体制を整える必要がある。個人としてはAIやデータサイエンスなどの専門技術を積極的に習得しつつ、柔軟性やコミュニケーション力、リーダーシップといった人間ならではの強みを磨くことが欠かせないといえる。