日本銀行の正木一博企画局長は5日、日銀が重視する基調的な物価上昇率が2%目標に向けて高まる見通しが実現すれば、利上げで金融緩和度合いを調整していく方針を改めて示した。衆院予算委員会で答弁した。

正木氏は、賃金上昇などを受けて価格を引き上げる動きが強まり、サービス価格も緩やかに上昇していると指摘。基調的な物価上昇率は2%へ徐々に高まってきていると日銀は判断しているとした上で、目標に向け高まる見通しが実現すれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針だ」と語った。

日銀は1月の金融政策決定会合で昨年7月以来の利上げを決め、政策金利を17年ぶりの0.5%程度に引き上げた。植田和男総裁は記者会見で、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、利上げで緩和度合いを調整する方針の維持を表明。次の利上げの時期とペースに市場の関心が集まる中、正木氏も総裁と同様の見解を繰り返した。

 

厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査(速報)では、昨年12月の名目賃金の伸び率が1997年1月以来の高水準となった。賞与など特別給与の増加に加え、基本給に当たる所定内給与も高い伸びを維持。日銀が1月の利上げ判断で重視していた賃金のモメンタム(勢い)を裏付ける内容となった。

賃金の順調な伸びが日銀の利上げ継続を後押しするとの見方から、債券市場では長期金利が一時1.295%と約14年ぶりの高水準を更新。外国為替市場では円が昨年12月中旬以来の水準となる1ドル=153円台前半に上昇している。

ブルームバーグが利上げ後の27日に実施したエコノミスト調査では、次回の利上げ時期について最多の56%が7月会合を挙げた。今回の利上げ局面における政策金利のターミナルレート(最高到達点)の予想中央値は1%となっている。

(説明や市場の動きを追加して更新しました)

--取材協力:氏兼敬子.

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