独身女性とリッチなミレニアル世代、今年の高級不動産市場をけん引

（ブルームバーグ）：世界の高級住宅市場は2025年、ほどよい状態で安定する見込みだ。サザビーズ・インターナショナル・リアルティ（ＳＩＲ）のリポート「ラグジュアリー・アウトルック」が示した。

リポートを取りまとめた最高マーケティング責任者のブラッドリー・ネルソン氏によると、「25年に不動産価格が下落すると予測しているわけではないが、上昇率は鈍化するかもしれない」という。

「世界中のトップエージェントを対象に、数えきれないほどのインタビューを行った。最前線で活躍する営業担当者は、市場はより安定し、よりバランスの取れた状態になっていると述べている」と同氏は語った。水面下では激しい動きがあるという。

まず、世界の富裕層が動き出している。ＳＩＲのリポートは、ヘンリー・アンド・パートナーズの報告を引用し、25年には13万5000人の富裕層が新たな国に移住すると予想。24年は12万8000人だった。

最大の恩恵にあずかるのはアラブ首長国連邦（ＵＡＥ）だとみられる。24年には過去最多となる6700人の富裕層が新たに居住者として同国に迎え入れられ、今後もさらに増える見通し。

ネルソン氏はＵＡＥについて、「富裕層を引き寄せる磁石のようなもの」だと述べ、「英国や欧州、その他の地域から人々が集まってくる」と話した。

同氏は税制優遇措置、不動産購入や投資によって在住権が得られるゴールデンビザ（査証）の制度、そして特にドバイのライフスタイルをＵＡＥの魅力として挙げている。

ブランド住宅が特に人気だという。ブランド住宅は「ほぼ同等の広さと品質のブランドのない住宅と比較して、25％以上のプレミアム価格で取引されることも珍しくない」と、ドバイＳＩＲのマネジングパートナー、クリス・ホワイトヘッド氏はりポートに記している。

一方、ＳＩＲによれば、米国では海外富裕層による住宅購入額は09年以来の低水準となった。23年４月－24年３月の購入額は420億ドル（約６兆5000億円）、購入件数は５万4300件。 17年はそれぞれ1530億ドル、28万4500件だった。

それでも、今後１年間に米国で外国人による購入が活発化する可能性はある。「一般的に、より安定した在庫レベルは購入をより魅力的にする」とネルソン氏は説明。「米国で不動産を購入する人が別の国に住んでいることを考えると、物件が数時間、数日のうちに売れてしまうようであれば、新しい物件を見に来ることすら不可能だ」と述べた。