(ブルームバーグ):アップルが改定したアプリ開発業者向けの手数料について、欧州連合(EU)の競争当局が新たな調査に乗り出している。ソフトウエアメーカーのコストを押し上げる可能性があるとの懸念が背景にある。
事情に詳しい関係者によると、EUの執行機関、欧州委員会は12月、アップルがアプリ開発業者に課す「コア技術料」に焦点を当てた新たな聞き取り調査を実施した。コア技術料は、アプリ1件のインストールにつき、開発業者がアップルに0.5ユーロ(約80円)支払う新たな手数料だ。関係者は匿名を条件に語った。
米シリコンバレーのテック企業経営陣はトランプ次期大統領に、大手テック企業の地位乱用とされる行為を抑制しようとするEUの取り組みに異議を唱えるよう求めている。メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、EUが同社に課した制裁金を「事実上の関税」と非難している。
アップルはEUのデジタル市場法(DMA)を順守する取り組みとして、新たな手数料体系を導入。この新体系について欧州委は調査を進めており、今回の聞き取りもその一部だ。
アップルは開発者に対し、アプリ販売額の最大30%を同社に支払う従来の条件を維持するか、手数料は低くなるがコア技術料などの支払いが発生する新たな手数料体系を受け入れるか、選択するよう求めている。
関係者によると、EU側は、変更された手数料を消費者に転嫁され得るのかどうか、また、開発者がアップルの新しい料金体系を採用した場合に自社のビジネスモデルを修正する必要があるかどうかをたずねた。加えて、新しい手数料体系が開発者のコスト削減につながるというアップルの見通しが正しいかについても、見解を求めたという。
欧州委員会とアップルはコメントを控えた。
調査の結果、欧州委員会が取り組み不十分と判断した場合は、アップルに対し、アプリ開発業者への手数料体系の全面見直しを求める可能性がある。DMAは、プラットフォームを提供・運営している大手テック企業が取り組むべき課題や禁止事項を数多く規定しており、違反した場合は企業収益の最大10%の罰金を科すとしている。
原題:Apple’s New App Fees Spark More EU Scrutiny Under Big Tech Rules(抜粋)
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