足下の企業マインドを巡っては、製造業は頭打ちの動きをみせているものの、サービス業 で堅調な動きがみられるなど、景気は底堅い動きをみせていると捉えられる。ただし、今月初めにインド政府が公表した今年度(2024-25 年度)の経済成長率見通しでは、+6.4%と前年度(+8.2%)から鈍化して4年ぶりの伸びに留まるとともに、当初見通し(+6.5~7.0%)の下限をも下回るなど、製造業における生産低迷や企業部門による設備投資の弱さが景気の重石になるとの見方を示している。
昨年までのインド株の上昇局面においては、インドが高い経済成長を実現するとの『期待』がその追い風となってきたことを勘案すれば、中長期的な観点でのインド市場への期待は依然高いと見込まれるものの、当面のインド市場を取り巻く環境は厳しい展開が続く可能性に留意する必要がある。
(※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)