(ブルームバーグ):2025年度の国債発行計画は5年債や短期国債が増額された一方で超長期債は減額された。債券市場参加者の声を反映した形に収まった。
財務省が27日発表した発行計画では、5年債が前年度当初予算比1兆2000億円、割引短期国債は同2兆4000億円増える。また流動性供給入札は5年超15.5年以下で6000億円増になった。同時に超長期債の30年と40年はともに1兆2000億円の減額となった。入札を通じて機関投資家に販売される国債発行額は172兆3000億円と1兆3000億円増になる。
日本銀行が17年ぶりの利上げを3月に決めたことを受けて、投資家は金利水準が上昇した短いゾーンへの購入意欲が強い。30、40年債は生命保険会社の需要減で需給悪化が続いて国債利回り全体を押し上げる要因だったが、市場で要望された減額となった。国債発行計画は全体として発行年限の短期化になり、投資家の需要を反映した格好で相場の支援材料となる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは国債発行計画について、全体的に国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)や国債投資家懇談会の議論が反映されているとして「債券市場の安心感になっている」と指摘した。10年以下の増額の部分が明らかになったことで、前日に増額への警戒感から売られたことは消化したとしている。
流動性供給入札
流動性供給入札は全体で13兆5000億円と3000億円の増額となった。6000億円増となった5年超15.5年以下は7兆8000億円となった。他に残存1年超5年以下は3兆円で変わらず、15.5年超39年未満は2兆7000億円と3000億円の減額になった。
【年限別国債(市中消化)発行額・回数(カッコ内は24年度当初比)】
(第4段落に市場参加者コメントなどを追加して更新します)
--取材協力:日高正裕、船曳三郎.
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