東南アジア経済の概況と見通し

【経済概況:財輸出と製造業の回復により景気上向き】

東南アジア5カ国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)は今年景気の上向き傾向がみられる。2023年は財輸出が落ち込み景気が減速したが、2024年に入ると米国の底堅い消費需要や国際的なIT関連需要の増加により財輸出が回復し始めた。また内需は、昨年から金融引き締めの累積効果が家計や企業活動の重石となっているが、インフレ圧力の緩和や労働市場の改善、政府主導のインフラ開発などが下支えとなり堅調な伸びを維持している。

2024年7-9月期の実質GDP成長率(前年同期比)をみると、ベトナム(同+7.4%)とタイ(同+3.0%)の2カ国が前期から上昇した一方、マレーシア(同+5.3%)やフィリピン(同+5.2%)、インドネシア(同+4.9%)の3カ国が前期から低下した。総じて経済の輸出依存度の高いベトナムとマレーシア、タイは輸出拡大により製造業が回復して景気上向きの傾向がうかがえる。またフィリピンは悪天候の影響で景気の減速が目立ったが、インドネシアは底堅い成長を維持している。