(ブルームバーグ):米誌ニューズウィークはオンライン配信記事について1年余り前に導入した「公平性メーター(計測器)」が読者から強い支持を得ていると明らかにした。ただ、記事のバイアスを評価するこうした取り組みを不要と考える有識者もいる。
大半の記事末尾に表示される公平性メーターは「不公平・左寄り」「おおむね公平・左寄り」「公平」「おおむね公平・右寄り」「不公平・右寄り」の五つの選択肢を提示し、記事が偏っているかどうかを判断する機会を読者に与える。
2023年10月の導入以降、読者から350万票超の投票があり、うち70%が記事を「公平」と評価し、「おおむね公平」も含めると86%に達した。同誌のオーディエンス開発担当シニアバイスプレジデント、ジョシュ・オウトリー氏が明らかにしたもので、編集スタッフに貴重な洞察をもたらすほか、広告主への魅力を高め、読者との強い関係も構築すると、同氏はインタビューで語った。
他の報道機関も、読者とより良い関係を築こうとテクノロジーに目を向けている。米紙ロサンゼルス・タイムズは「バイアスメーター」を導入する計画だ。同紙は超党派の姿勢を示そうと24年大統領選で候補支持を表明せず、厳しい批判を浴びた。
ロサンゼルス・タイムズの記事によると、同紙のオーナーで資産家のパトリック・スン・シオン氏は、バイアスメーターは読者にさまざまな意見を示すものであり、自身のバイオメディカル事業向けに開発された人工知能(AI)技術を使用して、社説や論説の評価を行うと指摘。読者がボタンをクリックすれば、AIが編集した記事を読むことができ、代替的な視点を得られると説明した。
一方、ジャーナリズム研究の非営利団体ポインター研究所のニール・ブラウン所長は、AIアルゴリズムにも偏向があり得るとした上で、報道機関の論説をより政治的な偏向のないものにする最善策は、多様な視点を持つライターを雇うことだとの見方を示した。
原題:Newsweek Says ‘Fairness Meter’ Helps Magazine Tackle Bias Claims(抜粋)
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