ドナルド・トランプ氏の米共和党が上下両院を制するレッドウエーブ(赤い波)は、「YALL」にとって朗報だった。これは「神を畏れ、国旗を振る保守派」のために組成された上場投資信託(ETF)「ゴッド・ブレス・アメリカ」の証券コードを指す。

同ETFは今年のリターンがプラス32.9%と、S&P500種株価指数の同26%を大きく上回った。最大の保有銘柄は大統領選挙でトランプ氏の返り咲きを支援したイーロン・マスク氏が率いる電気自動車(EV)メーカー、テスラだ。

一方、民主党議員と配偶者らが売買した有価証券を追跡するETF(証券コード:NANC)は今年のリターンが20日時点でプラス28.6%。同ETFの証券コードはナンシー・ペロシ元下院議長の名前に由来するもので、リベラル派にとって全てが失われたわけではないことを示した。

これに対し、共和党版のファンドで、テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員の名前にちなむETF「KRUZ」は同14.7%だった。

ブルームバーグが追跡している政治テーマのETF8本のうち、S&P500種を上回るパフォーマンスを今年記録したのはYALLとNANC、「ストライブ500ETF」の3本。

今年の米国は社会の分断が大きな政治テーマとなったが、政治に焦点を絞ったETFが多額の資金を集めるには至っていない。

問題意識の高い「ウォーク(Woke)」を批判する急先鋒(せんぽう)のビベック・ラマスワミ氏は、自身のファンドで億万長者たちから支援を得たが、その他のファンドの大半は資産総額が3億ドル(約471億円)を超えることはなかった。機関投資家は経験則で、3億ドル未満のファンドを避けることが多い。

トランプ氏は次期政権で新設する「政府効率化省(DOGE)」の共同トップにマスク氏と共にラマスワミ氏を指名している。

オハイオ州立大学フィッシャー・カレッジ・オブ・ビジネスの教授で全米経済研究所(NBER)の研究員でもあるイツァーク・ベンデービッド氏はテーマ型ETFの問題点として、投資アイデアがピークないしそれに近い時に運用が始まることを挙げ、パフォーマンスが通常、市場ベンチマークに劣る傾向があると指摘。

「ニュースで何かを読んだり、テレビで見たりした場合、あなたが最初にそれに気付いたのではなく、最後に知った1人で、価格はすでにその情報を反映している」と述べ、これが「人間の行動であり、(大恐慌の直前の)1929年にも、現在にも当てはまる」と付け加えた。

原題:‘God Bless America’ Fund Beats Political Rivals With 33% Gain (1)(抜粋)

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