アラサーのZ世代、中学生になるα世代
2020年は、ようやく日本のメディアでもZ世代(1996年~2012年に生まれた層)という言葉が取り扱われるような時代であった。Z世代という言葉もまだ馴染みがない中で、その次の世代が近々台頭してくると述べたところで、「まだその話題は早すぎる」「次はいいからまずはZについて書いてくれ」と言われたことを覚えている。それから4年が経ち、Z世代という言葉は若者を表現する便利ワードとして、様々な領域で耳にするようになった。一方で、世代の変遷を見る図表などにはα世代という文字も併せて記載されるようにもなり始めた。

α世代とは2010年から2024年の間に生まれた層を指す。2020年当時、Z世代の上は24歳前後、α世代は10歳前後であったが、Z世代は正に消費のトレンドを作る世代、α世代は現状市場に与える影響力は大きくはないものの、Z世代との間の価値観や生活様式の差が今後の消費文化に影響を与えていく世代と考えていた。とりわけAIとの近さが大きな差になると予想していた。
そして2024年現在、Z世代の上は28歳前後、α世代は14歳前後となったが、Z世代のなかにはいわゆるアラサーも増えてきており、所得も増え、結婚して、家庭をもって、仕事で役職につき始めるといった、それ以前の世代と同じライフコースに身を置くようになり、その前のY世代との価値観の差が縮まっているようにも見える。その結果、括りはZ世代だが、Z世代の特徴としてメディアで取り上げられるようなそれ以前の世代が理解できないような価値感を、同じZ世代でも理解できなくなっているケースもあるようだ。時間の経過に伴い、Z世代は、上はアラサー、下は中学生と社会的な位置づけが大きく変わってしまい、その価値観をお互い理解しろという方に無理があるのだ。
一方α世代は14歳前後となり、少しずつ市場においてもその存在感が増してきており、来年以降はZ世代だけではなくα世代についてのレポートも積極的に執筆できるだろう。今回のコラムでは、本格的な考察や分析ではなく、表面化し始めてきたα世代の興味深い消費行動の事例を紹介していきたいと思う。