カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は、貿易に関するトランプ次期米大統領の脅威によって世界の不確実性は増しており、経済安全保障の強化に向け先進国が協力するよう求めた。

マックレム総裁はバンクーバーで行った年末の講演で、高水準の公的債務や高い長期金利、成長鈍化によって「世界は一段と脆弱(ぜいじゃく)になっている」とした上で、地政学的な緊張や戦争、保護主義の高まりがリスクを増大させていると述べた。

マックレム総裁

講演テキストで「 経済安全保障に関する共通の問題にともに立ち向かうなら、主要7カ国(G7)を構成する民主主義国家はより強固になるだろう」と表明。カナダが2025年にG7首脳会議(G7サミット)議長国になることについて、「主導権を握る機会」だと指摘した。

マックレム総裁は、ある国・地域の行動が他国・地域を傷つけることを指す「ネガティブな国際的波及効果」への関心が高まっていると述べた。ただポジティブな協力関係もある。例えば新型コロナウイルス流行後に主要中央銀行が世界的なインフレ圧力の抑制に取り組んだ際には、グローバルな物品の需要が減少し、サプライチェーン混乱に伴う圧力が緩和された。

カナダからの輸入品に25%の関税を課すというトランプ氏の警告については、「今後数カ月にどのような展開になるかは誰にも分からない」と述べ、将来は「コロナ禍前よりも不透明に見える」と語った。

「貿易保護主義と経済の断片化が進み、グローバルな協力への意欲は後退しつつある。国際関係の変化は不確実性とコストを増大させ、投資計画変更につながる方向だ」と述べた。

原題:Macklem Says Trump Tariffs Cloud Outlook, Urges G-7 Cooperation(抜粋)

--取材協力:Randy Thanthong-Knight.

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