介護の主な担い手は夫婦・子女で、介護施設への入居は負担面からも困難な状況
では、高齢者の生活サポートや介護は主にどこで、誰が担っているのであろうか。調査によると、在宅介護、デイサービス、施設介護のうち、在宅介護の利用が全体の87.3%と最も多く、次いで、デイサービスの利用が4.9%、施設入居は7.7%であった。都市と農村の地域別でみると、農村は都市よりも在宅介護が8.1ポイント多く、デイサービスの利用は4.3ポイント低い。更に、施設介護となると3.8ポイント低くなる。これは都市を中心にデイサービスの拠点や介護施設が建設され、サービスの提供がされている点が挙げられる。農村においてはデイサービスの利用や介護施設への入居へのアクセスが都市よりも限られているからであろう。
一方、介護の主な担い手はどうであろうか。調査によると、日常生活において介護が必要と自身で判断した高齢者のうち、83.0%は何らかの生活・介護サポートを受けている。実際、サポートを受けている高齢者のうち、その担い手としては子女(息子、息子の配偶者、娘、娘の配偶者)が47.6%と最も多く、次いで配偶者が45.5%となった。つまり、在宅介護を中心に、そのサポートの担い手はほぼ家族となっており、専門職(家政婦・医療施設の職員・介護施設の職員)は3.4%となった。また、都市・農村の地域別でみた場合、農村の方がより家族やその子女を主な担い手としている割合が高い。

中国では現在、公的介護保険制度が試行されているが、在宅介護を中心に、デイサービスや施設介護の利用は限定的で、従前の家族を中心とした生活・介護サポートが続いていることになる。