高齢者の独居は農村の方が深刻
高齢化、長寿化が進む中国では、老後保障が大きな課題となっている。政府は年金など現金による給付を確保するとともに、生活サポートや介護サービスなどサービス給付の整備も進めている。
政府は高齢者(60歳以上)の生活状況について5年毎に調査(「中国都市・農村高齢者生活状況サンプル調査」、以下、調査)をしており、今般、2021年に実施した調査結果を発表した。調査によると、高齢者の暮らし方として、独居(高齢者の一人暮らし)の世帯が全体の14.2%、高齢者夫婦のみの世帯が45.5%であった。子女と同居が33.5%と3割を超えてはいるものの、中国ではこれまでも子どもが成長したことで、一人暮らしや夫婦のみの高齢者(「空巣老人」)が増加している点が社会的な課題とされてきた。今回の調査で全体のおよそ6割がそのような状態にあることになる。更に、都市と農村に分けてその調査結果をみた場合、都市より農村の方が高齢者の一人暮らしが多く、子女との同居が少ないことも分かった。
一方、高齢者自身が自立した生活をできているかについても調査している。それによると、全体の88.4%は自立した生活ができているとしている。部分的に自立した生活が困難は7.1%、自立した生活が全く困難は4.5%となった。年齢別で自立した生活が困難(部分的/全く困難の合計)は60代で6.9%、70代では12.6%、80代以上では29.2%となった。都市および農村の地域別では都市が9.6%、農村が13.9%となり、農村の方が多い。この点からも高齢者の生活サポートは公的・私的・相互扶助(近所や共同体の助け合いなど)の面においても農村でより必要とされていることが分かる。
