米国のトランプ次期政権下で規制緩和が予想されることから、企業は買収や新規上場に関する戦略を練り直しているという。ウォール街のアドバイザーら複数の金融関係者らが10日、ロンドンで開かれたブルームバーグのイベントで語った。

ゴールドマン・サックス・グループのグローバル買収ファイナンス責任者クリスティーナ・ミニス氏は「トランプ氏が大統領選挙中に掲げた政策公約を踏まえると、米国での企業の買収・合併(M&A)は少し活発になるとの見方があると思う」と指摘した。

動画:ロンドンでのブルームバーグのイベントに登場したゴールドマン・サックス・グループのクリスティーナ・ミニス氏

ミニス氏は、米次期政権が課す可能性のある関税を巡る不確実性により、欧州では「やや慎重な姿勢になる」との見通しを示した。ただ、それでも取引は夏までには全般的に活発化するとみており、「大統領選以来、それまで様子見していたり、何が起こるのか不安を抱いていたりした出資者や企業から、問い合わせが増えている」と述べた。

ドイツ銀行のM&Aグローバル責任者アリソン・ハーディングジョーンズ氏は、米国の次期政権はM&Aに対してより寛容な姿勢をとると示唆しており、当局の審査が2年以上もかかり、規制プロセスのためにM&Aをしようとさえしない企業もいた時代は終わると語った。

UBSグループのオルタナティブ・キャピタル・グループのグローバル共同責任者であるシモーナ・メラーレ氏によると、バイアウト企業が何兆ドルもの未使用資本を保有するプライベートエクイティー(PE、未公開株)業界でも、来年には環境が改善すると予想されている。

米国の政権が保護主義的になることで、金融危機以来、米国に大きく後れをとっている欧州に銀行業界の統合を促す可能性があると、ハーディングジョーンズ氏は指摘した。今年に入ってから欧州の金融機関による買収は増加しているものの、主に各国の国内にとどまり、欧州議会議員らが長年求めてきた欧州銀行同盟の構築には至っていない。

原題:Wall Street Advisers Say Dealmaking Will Pick Up in Trump Era(抜粋)

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