紅海を航行する貨物船への攻撃やトランプ次期米大統領の関税政策といった逆風が吹いているにもかかわらず、世界貿易は強靱(きょうじん)さを示している。

世界貿易機関(WTO)が9日発表した報告書によれば、WTO商品指数は直近の水準が102.7と、9月時点の103からほぼ変わらず。電子機器を除く全ての指数構成要因がトレンドライン上にあるかトレンドラインを上回っている。

「貿易は10-12月(第4四半期)末まで引き続き緩やかなペースで拡大する」ことを示唆していると報告書は説明。「貿易政策が変わる可能性を含む不確実性の高まりにより、見通しは不透明になっている」とも指摘した。

WTOが10月に発表した貿易予測では、今年の貿易量は2.7%増え、2025年は3%伸びる見込み。

ドイツのコンテナ船海運会社ハパックロイドのロルフ・ハッベン・ヤンセン最高経営責任者(CEO)も、WTOと同じような見方をしている。

同CEOは今年の国際貿易需要が予想以上に堅調と説明。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃を避けるため、スエズ運河経由の短距離ルートに代わり南アフリカを遠回りし航行する船舶が増え、輸送能力が引き続き逼迫(ひっぱく)していると述べた。

ヤンセンCEOが9日のウェビナーで引用した数値によると、コンテナ量は今年5.5%増加し、来年は3%増える見通し。

さらに、トランプ氏が米国のすべての貿易相手国に対して輸入関税の引き上げをちらつかせているが、海上貿易が必ずしも妨げられるわけではないとの考えを示し、「トランプ政権1期目に起こったことを振り返ってみると、貿易量への影響は実際にはかなり限定的だった」と分析。

「今後数年間についても、最終的には貿易量への影響は限られるだろうと慎重ながらも楽観視している」と語った。

原題:Global Trade Shows Durability Amid Red Sea, Tariff Threats(抜粋)

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