中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は2日、来年の成長促進に向け景気支援的な金融政策を堅持する方針をあらためて示した。第2次トランプ政権における米国との貿易戦争の可能性が間近に迫る中、中国経済は新たな課題に直面している。

人民銀の声明によれば、潘総裁は北京で開催された金融フォーラムで、人民銀は2025年に「緩和的な金融政策のスタンスと方向性を維持する」と語った。

潘功勝総裁

同総裁は「逆周期(カウンターシクリカル)型の政策調整を強化する」とあらためて表明。これは通常、減速する経済を刺激する措置を指す表現だ。また、人民銀はさまざまな手段を用いて、流動性を潤沢に保ち、企業や個人の借り入れコストを引き下げていくとも述べた。

トランプ次期米大統領は中国製品に高関税を賦課するとしており、来年の中国経済にとって金融政策支援は必要不可欠となる。トランプ氏が掲げる対中関税は、新型コロナウイルス禍以降、中国の経済成長の主な原動力となってきた輸出の見通しを脅かしている。

3日の外為市場では、人民元が対ドルで約1年ぶりの安値に下落。米国が関税を引き上げるリスクが高まる中、トレーダーは中国経済低迷の見通しから弱気ポジションを拡大した。

潘総裁は2日のイベントで、マネーサプライ(通貨供給量)統計のM1に関する変更も発表。M1はこれまで主に現金と法人の要求払い預金で構成されていたが、今後は個人の要求払い預金のほか、中国で人気の決済アプリ「アリペイ(支付宝)」や「ウィーチャットペイ(微信支付)」などに蓄積された資金も対象に含めるという。

 

原題:China’s Central Bank Chief Signals Support for Economy in 2025(抜粋)

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