(ブルームバーグ):米国の消費者はトランプ次期政権下でのガソリン高に備える必要がある。トランプ氏がカナダとメキシコからの輸入品に関税を課す方針を打ち出しているためだ。
米国の輸入原油のうち、カナダとメキシコを合わせた供給分は約7割を占める。その大半が米中西部の燃料メーカーに向かい、一部はメキシコ湾岸にある世界最大の石油精製拠点にも送られる。トランプ氏は今週、両国からの全ての輸入品に25%の関税を賦課すると表明した。
ガスバディの石油分析責任者パトリック・デハーン氏は、関税コストの上乗せにより夏のドライブシーズンには中西部のガソリン価格が1ガロン当たり最大50セント値上がりする可能性があるとの予想を示した。
関税計画とは裏腹に、トランプ氏は国内のエネルギーコスト削減のほか、ガソリン価格を1ガロン=2ドル未満に引き下げる目標も掲げる。
デハーン氏は電話インタビューで、「好ましい状況ではない。石油業界の規制緩和を主張するトランプ氏の姿勢とは実に矛盾しており、精製各社にとって極めてマイナスだ」と指摘した。

ガソリン価格上昇のリスクは、米国がガソリンや軽油の原料となる原油の調達で、依然として輸入に依存する状況を浮き彫りにしている。
米国内のシェール層を「掘りまくれ」と呼びかけるトランプ氏でさえ、そうした状況を大きく改善させることはできないだろう。国産原油は軽質スイート原油が中心だが、米国の製油所が燃料を生産するには重質原油が必要になる。国内の原油生産が記録的な水準に達しているにもかかわらず、米国がなお輸入に頼らざるを得ないのはそのためだ。
米燃料メーカーによる昨年の原油輸入は日量650万バレル。これはイラクとクウェートを合わせた生産量に匹敵する水準で、米国内で精製された原油の40%を占める。
カナダとメキシコに対する関税はインフレ再燃懸念を招き、利益率が低迷している米燃料メーカーに打撃を与えることにもなりかねない。
米石油協会(API)の広報担当スコット・ラウアーマン氏は「米国にとってカナダとメキシコは最大級のエネルギー貿易相手国であり、国境を越えたエネルギー製品の自由な流通を維持することは、北米のエネルギー安全保障と米消費者にとって必要不可欠だ」と述べた。
原題:Trump’s Tariff Plan Threatens Higher US Gasoline Prices(抜粋)
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