(ブルームバーグ):28日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=151円台後半に下落した。「トランプトレード」の巻き戻しや12月の金融政策決定後に日米の金利差が縮小するとの観測から、前日に円買い・ドル売りが急速に進んだ反動が出ている。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定にかけ実需のドル買いも入った。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、トランプトレードの巻き戻しでドル安・円高になり過ぎたと指摘。日米金利差を見る限り、「150円を超えてどんどんと円高が進む相場でもなく、いったんポジションを考える状況だ」と言う。
27日の海外市場ではブルームバーグ・ドル指数が大幅に下落し、円は主要10通貨に対し全面高となった。経済指標の発表後に米長期金利が低下した影響を受けた。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、12月の米利下げ期待の回復に加え、米大統領選挙でのトランプ氏勝利を受けて積み上がったドル買いポジションを感謝祭の休暇前に巻き戻す動きが加速したと見ていた。
最近の米長期金利低下の背景には次期財務長官に財政規律重視派と市場でみられているベッセント氏が指名され、財政悪化への警戒感が後退したほか、トランプ次期米大統領の関税強化姿勢で世界経済の先行き懸念が広がったことなどがある。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、きょうの円相場について「ドルが下がったところを好機と見た実需のドル買い需要もあるだろう」と指摘。もっとも、12月の米利下げと日本銀行の利上げの織り込みが今後進む余地があり、「きょうのドル・円が200日移動平均線まで戻せずに終われば、再び円高・ドル安基調が強まる」とも話している。

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