(ブルームバーグ):10月の米小売売上高は市場予想を上回る伸びとなった。自動車販売の増加が全体を押し上げた。また、ホリデーシーズンが近づく中で他のカテゴリーも幾分勢いを示した。
自動車を除いたベースでは0.1%増となった。

13分野のうち8分野で増加。電子機器や家電の販売店が特に好調だった。自動車販売は3カ月ぶりの大幅増。
電子商取引を含む無店舗小売りは伸びが鈍化した。アマゾン・ドット・コムによる大型セール「プライムデー」での値引きや、ウォルマート、ターゲットが実施した同様のキャンペーンが影響した可能性がある。
10月のデータは強弱が混在しているが、9月分の上方修正は、今年終盤の個人消費が想定されていたより力強いことと、それを背景にホリデーシーズンの消費が堅調に推移する可能性を示唆する。
一方でインフレが根強い上に、一部の小売業者はトランプ次期政権下で輸入品への関税が引き上げられることを見越して既に値上げを検討している。
こうした状況は今後の小売売上高データをゆがめる恐れがある。この統計はインフレ調整をしないため、増加が示されても販売が増えたというより価格の上昇を反映しているに過ぎない可能性があるためだ。
9月分は大幅に上方修正されたが、8月分は逆に0.1%減へと下方修正された。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「個人消費の伸びは若干鈍化するだろう。ひどく悪化するというわけでは全くないが、今回のデータは消費減速という私の見解と整合的だ」とリポートに記した。
コア売上高
国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建設資材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高(コントロールグループ)は、10月に0.1%減少。9月は2023年1月以来の大幅増だった。
ただ、過去3カ月の年率では4.6%増となり、10-12月(第4四半期)の米経済が順調に滑り出したことを示唆している。
今週発表された物価統計がインフレの根強さを示唆したことと併せて今回の小売売上高を見ると、米金融当局は追加利下げに慎重な姿勢を維持する公算が大きい。
ブルームバーグ・エコノミクスのエステル・オウ、イライザ・ウィンガー両氏は「所得の伸びと与信へのアクセスが引き続き個人消費を支えている。選挙後のセンチメント上昇が年内の消費を支えると、われわれはみている。しかし、その後の消費は労働市場の状況に密接に結びついた状態が続くだろう」と指摘した。
小売売上高は主に、消費支出全体に占める割合が比較的小さい財の購入を反映している。小売売上高で唯一のサービス項目である飲食店の売上高は0.7%増となった。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Retail Sales Increase on Autos in Start to Holiday Season(抜粋)
(統計の詳細やエコノミストの見方、チャートを追加して更新します)
--取材協力:Chris Middleton、Jaewon Kang.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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