(ブルームバーグ):4日の外国為替市場でドルが下落しており、一時8月後半以来の大幅安を付けた。米国債利回りは低下。米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利するとの見方が後退していることが背景にある。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.7%低下。米国債利回りは10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて4.28%となった。最新の世論調査では、トレーダーたちは民主党候補のハリス副大統領の勝利の見通しを過小評価していることが示唆された。トランプ氏が掲げる関税引き上げが大きな脅威となるメキシコ・ペソは、対ドルで一時1%余り上昇し、新興市場通貨の上げをけん引している。同氏が暗号資産(仮想通貨)への支持を表明して値上がりしていたビットコインは下落した。

この動きはトランプ前大統領の勝利を見込んだ「トランプトレード」が広く見直されていることを示唆している。デモイン・レジスターおよびメディアコム・アイオワの世論調査によれば、アイオワ州の有権者支持率は、ハリス氏がトランプ氏を3ポイント上回った。激戦州の1つウィスコンシン州はアイオワ州に隣接しており、ハリス氏の勝算を占う上で調査結果が試金石となる可能性がある。なお、NBCニュースが3日発表した最新の世論調査結果では、引き続き接戦の様子が示された。
MUFGのシニア為替アナリスト、リー・ハードマン氏は「米大統領選が近づくにつれ、トランプ氏当選の確信は薄れつつある」と述べ、「トランプ氏勝利とレッドスウィープ(共和党が上下両院も握る圧勝)がドルにとって最も強気なシナリオだ。一方、ハリス氏が勝利し、上下両院もしくはいずれかを共和党が支配した場合、ドルは先月の力強い上げを直ちに失うことになるだろう」と指摘した。
投資家がここ数週間、トランプ氏のホワイトハウス返り咲きを見込んだポジションを構築した結果、ドル指数は先週、4カ月ぶり高水準を記録。米30年債利回りは7月以来の水準に跳ね上がった。同氏が掲げる減税や関税賦課が財政赤字拡大、インフレ加速につながって、債券相場を圧迫するとの懸念があった。
米大統領選に加え、市場では米金利見通しも大きく変動している。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金利据え置きの確率は足元で約8%。わずか数週間前には、11月もしくは12月の会合で再度0.5ポイントの利下げに踏み切る可能性が議論されていた。
一方、原油相場は上昇。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で構成される「OPECプラス」が、12月に予定していた生産引き上げを1カ月先送りすることで合意したほか、中東情勢が再び緊迫化していることが影響した。
ロンドンICEの北海ブレントは一時2.5%上昇のバレル当たり74ドル余り。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物も同71ドルを超えた。

原題:Dollar Weakens as US Polls Signal No Clear Leader: Markets Wrap
‘Trump Trade’ Doubts Drag on Dollar, Boosting US Treasuries
Oil Rises as OPEC+ Delays Output Hike and Iran Steps Up Rhetoric
(抜粋)
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--取材協力:Richard Henderson.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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