来週の円相場は上下に値動きの荒い展開となりそうだ。衆議院選挙で自民、公明の与党の過半数割れリスクが浮上しており、政権の枠組みも含め結果判明後の不確実性の高さが警戒される。米国では雇用統計の発表や11月5日の米大統領選挙も近づき、相場に明確な方向性が出るのを期待しづらい局面だ。

市場関係者の見方

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長

  • 円相場は軟調を見込むが波乱含みで、予想の中心は1ドル=149円-153円。衆院選結果や米雇用統計次第では上下に2円ほどレンジが広がるリスク
  • 衆院選のメインシナリオは自公過半数割れで政権弱体化。日本銀行の追加利上げは困難との見方で円売り。ただ、立憲民主党を中心とした政権となった場合、急激な円高リスクもある
  • 米雇用統計はハリケーンやストライキの影響で弱めの予想。市場予想通りでも、想定内ということでドル売りにはなりづらい
  • もっとも、翌週に米大統領選を控え、円がある程度上下に振れても振れ幅は縮小していくことになりそうだ

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト

  • 円相場は11月の米大統領選を前にポジションを傾けづらく、方向感を欠く動きになりそう
  • 衆院選の影響は自公過半数維持の可否や政権の枠組みが変わるかが不透明。短期的に上下に振れるリスクがあるが、相場の方向性を決めるには至らない
  • 日銀の金融政策決定会合も変更はなく、無風通過になるとみられ、相場への影響は限定的。米雇用統計はハリケーンの影響で下振れリスクが意識されており、予想通りでもドルが買われる可能性がある

来週の注目材料

  • 27日:衆院選投開票
  • 30、31日:日銀金融政策決定会合(展望リポート、植田和男総裁の会見)
  • 11月1日:10月の米雇用統計

来週の主な予定

  • 28日:米2年国債入札、米5年国債入札
  • 29日:9月の失業率、2年国債入札、9月の米求人件数、10月の米消費者信頼感指数、米2年変動利付国債入札、米7年国債入札
  • 30日:7-9月期ユーロ圏国内総生産(GDP)速報値、10月の米ADP雇用統計、7-9月期米GDP速報値、米四半期定例入札の公表
  • 31日:9月の米個人消費支出(PCE)、9月の米PCE価格指数、米失業保険申請件数
  • 11月1日:10月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数

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