10月第5週(10月28日-11月1日)の債券市場では、長期金利の上昇(債券価格の下落)が予想されている。27日の衆議院選挙がいずれの結果になっても財政悪化懸念が高まりやすい。米国で週末に発表される雇用統計や翌週の大統領選挙に向けて米長期金利の高止まりも予想され、超長期債を中心に金利上昇圧力がかかりやすい。

市場参加者の見方

◎三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト

  • 衆院選の影響で軸になるのは財政規律。与党過半数維持でも石破政権下で13兆円規模の補正予算の影響が懸念される上、過半数割れなら積極的な財政政策が見込まれ、来年度のプライマリーバランス(PB)黒字化は断念されるだろう
  • 米雇用統計はハリケーンやストライキによる特殊要因があり、悪化しても利下げ期待は高まりづらい。大統領選でトランプ氏返り咲きによるインフレ再燃と財政悪化を警戒した展開から米金利は下がりづらい
  • 日本銀行の金融政策決定会合は政策据え置きの見通しで、植田和男総裁の会見でも米経済への不安が払しょくしたとは言わないだろう。中立的なトーンで相場への影響は限定的か
  • 新発10年国債利回りの予想レンジは0.93-0.99%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト

  • 衆院選の結果次第では政局の不透明感が強まりそうだが、日銀は来年1月までに追加利上げとの見方が大勢で、利上げ観測が大きく後退する可能性は低い
  • 米国債は雇用統計と大統領選を控えて利回り上昇の懸念が続き、投資家は引き続き様子見姿勢。日本国債の利回り低下余地も限られている
  • 日銀の利上げ観測が続く中で投資家の姿勢はやや慎重とみられ、価格変動リスクの小さい2年国債の入札では都市銀行を中心とした根強い需要が見込める
  • 新発10年国債利回りの予想レンジは0.93-0.99%

国債入札

日銀買い入れ

主な材料

  • 29日:9月の米求人件数
  • 30日:7-9月の米国内総生産(GDP)速報値、10月の米ADP雇用統計
  • 31日:日銀金融政策決定会合の結果と経済・物価情勢の展望(展望リポート)公表、植田総裁会見
  • 31日:11月の日銀国債買い入れ日程
  • 31日:9月の米個人消費支出(PCE)価格指数
  • 1日:10月の米雇用統計と米ISM製造業景況指数

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