24日の日本市場では円相場が上昇。前日の海外市場でおよそ3カ月ぶりに1ドル=153円台に下落し、売られ過ぎとの見方が浮上したほか、通貨当局による介入警戒感も高まった。株式は日経平均株価が反発、債券は上昇した。

加藤勝信財務相は訪問中の米ワシントンで現地時間23日夜、足元の為替相場について一方的な動きが見られるとし、緊張感をさらに高め注視していきたいと語った。米国で利下げ観測の後退や大統領選挙後の財政リスクから長期金利が高水準で推移。衆議院選挙を控える日本の政局リスクも警戒され、23日の海外市場で円は前日比1%を超える下落となっていた。

SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストはリポートで、1カ月程度で10円超の円安が進んでいるとして「円買い介入発動の要件はそろった」と指摘した。一方、今後さらに円安が進む場面ではむしろ日本銀行の早期追加利上げが俎上(そじょう)に載る可能性が高いという。介入効果への懐疑論が7月のサプライズ利上げの背景にあったとみるためだ。

為替

東京外国為替市場で円相場は1ドル=152円台前半に上昇。加藤財務相の円安けん制や、円は売られ過ぎとの見方が買い戻しを促した。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、「前日にかなり円安が進んだ動きの反動が出ている」と指摘。通貨当局から円安をけん制する発言が出てきていることも、短期勢による利益確定の円買いを後押ししているのではないかと話した。

諸我氏は、ここまでのドル高・円安進行で、米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利して上下両院の主導権も同党が握る「レッド・スウィープ」の織り込みが進んだと指摘。「目先、さらなるドル高・円安の余地はそこまで大きくはない」と予想した。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、日米の政治イベントを前に短期勢が円売りで収益を上げにいく展開になっており、円一段安のリスクは残るとみる。円の下値が急速に切り下がる中で、通貨当局が円安けん制のトーンを強めてもおかしくはないと語った。

株式

株式相場は日経平均が4営業日ぶりに反発した。米電気自動車(EV)大手のテスラや韓国SKハイニックスの好決算を受けてハイテク株の一部が買われ、指数を押し上げた。

SKハイニックスが発表した第3四半期の利益と売上高が四半期ベースで過去最高となり、日本でも東京エレクトロンやアドバンテストが上昇した。国内でも企業決算を受けた個別銘柄の選別が顕著になり、第2四半期営業利益が市場予想を上回ったニデックは5%高で終えた。

朝方は米アップルの新型スマートフォン「iPhone 16」の発注台数引き下げ観測などを受けて売りが先行。週末の衆院選を前に国内の政局リスクが意識されることも相場の重しになり、TOPIXは小幅に続落した。

アセットマネジメントOneの荻原健チーフストラテジストは、日本の選挙に向けた不透明感が続いていると指摘。自民、公明の与党が過半数に届かず、物事が前に進まないといったところが警戒されていると述べた。

債券

債券相場は上昇。米国の長期金利が時間外取引で低下していることや円相場の上昇を受けて中長期債が買われた。20年国債入札が低調な結果となり、売りが優勢になる場面もあった。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは、今の情勢では自公で過半数割れの可能性があるとし、「多くの政党が金融緩和維持を要求しているところがあり、手前のゾーンがしっかりしやすい」と述べた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、20年債入札は弱い結果だったとし、「衆院選後の長いゾーンの金利上昇を警戒して応札が手控えられた可能性がある」と述べた。

入札結果によると、最低落札価格は99円70銭と市場予想99円95銭を下回り、大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は29銭と4月以来の大きさ。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.04倍と、前回の3.47倍を下回り、3月以来の低水準となった。

日本債券:20年利付国債の過去の入札結果(表)

新発国債利回り(午後3時時点)

--取材協力:船曳三郎、佐野日出之、横山桃花.

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