(ブルームバーグ):日本生命保険は2024年度上期に円建て債券の残高を削減したのに続き、下期はさらに減らす計画だ。執行役員財務企画部長の都築彰氏が17日の下期運用説明会で明らかにした。日本銀行の追加利上げに伴い、10年債利回りは年度末で1.4%への上昇を見込む。

上期は「国内債券等」の残高を3800億円削減した。23年度は7100億円積み増しており、都築氏は4月に行った運用説明会で24年度も同程度の積み増しを想定していると話していた。上期の残高減少について、都築氏は「超長期債を含む円債に投資する一方、今後の金利上昇に備え、低利回り資産を売却した」としている。上期末の国内債券の含み損は2兆200億円と3月末(1兆116億円)から拡大した。
都築氏によると、24年度に残高を削減する「国内債券等」には30年債を含む国債のほか、通貨スワップを用いて円金利化した外国社債も含まれ、これらの残高が一定程度膨らんでいるため、低金利資産の売却を進めていくという。国債だけに限れば残高は増加しており、年度でも増やす。
超長期債は金利が上昇した6-7月を中心に買い入れる一方、金利が低下した8月からは投資を控えており、トータルでほぼ平準ペースで買っていると都築氏は説明。「下期は一定の利回り上昇を見込んでいる」とした上で、金利水準が「良いところではしっかり買い入れ、低い場合は少し見送る」と述べた。
追加利上げ
日生では、日銀の追加利上げについては今年末か年始を想定。その次の利上げは、来年の春闘をしっかり確認した上で25年度上期を見込んでいる。
都築氏は「市場は日銀の利上げを思ったほど織り込んでおらず、金利は少し低い」と分析。今後賃金が上昇し、経済や物価が日銀の見通し通りに推移することで、「市場は年度末に向けてさらなる利上げを織り込み、10年以下の金利が上昇していく」と予想した。10年債利回りの想定は24年度末で1.4%と、4月時点(0.9%)から大きく引き上げ、最大1.8%までの上昇を見込む。
主要投資対象の30年債の利回りは年度末で2-2.5%を想定し、「現時点で十分魅力的な水準」と都築氏は指摘。日銀の利上げ織り込みが進むほか、日銀が国債の買い入れ減少させていくため、「どちらかというと、10年以下の金利の方が上昇しやすく、30年債利回りはそれほど上がらない」との認識を示した。

上期はヘッジ付き外債を3100億円削減する一方、オープン外債を1100億円積み増した。下期はヘッジ付き外債を増やし、オープン外債は横ばいから減少にとどめる。
【日本生命の2024年度下期運用計画】
【金融環境見通し:25年3月末の見通しとレンジ】
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