■“世界の住宅価格が崩れる恐れも” 2023年の住宅市場は“黄色信号”?

赤荻 歩(TBSアナウンサー)
世界の住宅市場を研究してきた法政大学・経営学部の平田英明教授は「先進国が急激に利上げモードに入っている中で、世界の住宅価格が崩れる恐れもある。日本も黒田総裁が任期を終え、金融政策の潮目が変わる可能性があり2023年の住宅市場は“黄色信号”」と話しています。また、平田教授は、先進国の不動産価格は互いに影響を与える可能性があると指摘します。

赤荻 歩(TBSアナウンサー)
さらにイギリスの調査会社「Oxford Economics」によりますと、2023年末までの住宅市場の暴落リスクについて、過去50年間の住宅価格の暴落データなどから予測したところカナダ、ニュージーランド、スウェーデンでその確率は50%以上と予測。またアメリカは約35%と“危険水準”にあると予測しています。ここまで住宅価格や金利について話してきましたが、2023年は住宅市場にとってどのような1年になると思いますか?

中山 登志朗(LIFULL HOME’S総研 副所長)
暴落リスクのある国は、積極的に利上げをしている。すると物件の価格は抑えられるが、返済額がどんどん増えていってしまう。一方、日本は金利を上げないという政策をとっているので、住宅価格が上がっても金利は低いままなので月々の返済額は抑えられている。よって住宅のマーケットがシュリンクすることはないだろう。しかも持っている住宅の利払いがかさんでしまって、デフォルトを起こす可能性が極めて低い状況にある。

末廣 徹(大和証券チーフエコノミスト)
日本の場合、円安で物価が上がっていることは事実ですので、2023年に関しては政策判断かと。インフレを放置して、金利は低めにするのか、一時的とはいえ利上げしてインフレを止めにいく、でも住宅ローンを払っている人には変動金利が上がってしまう、そういう政治判断になる可能性はあります。そこでインフレはダメだという世論が強くなれば、一時的なインフレと分かりつつも日銀が動く可能性も出てくる。そうすると金利上昇もゼロではない。