史上初の4万円に達した日経平均株価。このまま史上最高値を更新し続けるのか、それとも大きな「調整」が入るのか。専門家の見通しを聞きました。

年度内に「4万1000円」の予想も 半導体銘柄が軒並み好調

みずほリサーチ&テクノロジーズで主席エコノミストを務める宮嵜浩さんは「4万円が見えており、追い風が吹いている」とした上で、「海外ではハイテク関連、特に半導体関連の業績がすこぶる良く、さらに『生成AI』が材料視されて、株価も上がっています。そういった雰囲気の中で、日本株も買われています。国内を見ても主要企業の業績は非常に良いです」と話します。

企業の業績について宮嵜さんは「円安が輸出企業の収益を押し上げています。物価の上昇も、生活者にはつらいですが、企業からすると売上高を押し上げる要因になっています」とします。

今後の株価についても「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)で見ても、株を売る材料が見つけにくいです。年明けからの『新NISA』で投資熱も高まりつつあるので、株価の調整(の局面になる)というより、どの水準まで上がるかを見に行く状況ではないでしょうか」といいます。

みずほリサーチ&テクノロジーズでは、3月までの予想株価の上限として「4万1000円」を掲げています。

「需要の先食い」してしまうと…「ガクッと消費が落ちる」可能性も

一方、悩ましさがあるという専門家もいます。大和証券でチーフエコノミストを務める末廣徹さんは「最高値を超えてしまったので、『チャートポイント』(節目となる価格)のようなものがなくなってしまいました」と話します。どういうことでしょうか。

末廣さんは「間近にある4万円を超えるかが注目されていますが、そこからの水準が1000円になるか2000円になるかは、企業業績しか要因がなくなってしまいました。けれど、業績に関してはどこも良さそうで、投資家は弱い部分を探しているがなかなか見つからない状態です」と指摘。これは、先ほどの宮嵜さんの話に通じます。

成長していく局面としては良さそうなサイクルなような気はしますが、末廣さんは「良いものではあるのですが、例えば、必要ないものまで買うなどの『需要の先食い』をしてしまうと、後で『もう全部買っちゃったからいいや』とガクッと消費が落ちることがあります。経済はなだらかに推移した方がいいという話になると、『大丈夫なのかな』という意見も出てきています。今のところ、明るい話にしか目が向きにくい状況にはなっています」と分析します。