(ブルームバーグ):タイで午後にお酒を一杯飲みたい人は、アルコール規制法の改正によって高額の罰金を科されるリスクがある。法は取り締まりを強化するとともに、マーケティングや広告を巡る規制も大幅に厳格化する。
タイでは1972年以来、午後2時から5時までの間、ほとんどの小売店やスーパーマーケットでアルコール類の販売が禁止されてきた。
8日施行の改正酒類管理法によって、禁止時間帯あるいは禁止場所で飲酒したり酒類の提供を受けたりした個人は、1万バーツ(約4万8000円)以上の罰金を科される可能性がある。

認可を受けた娯楽施設、ホテル、観光地で認定を受けた施設、国際線を運航する空港などに例外が設けられているものの、責任の所在は消費者側に移された形だ。
改正法の下では、伝える内容が純粋に事実に基づくものでない限りアルコール飲料の広告が禁じられる。商業目的でアルコール飲料を宣伝するため、著名人やインフルエンサー、公的立場の人物を起用することも禁止されている。
タイ・レストラン協会のチャノン・ケッチャロエン会長は、新たな規制は飲食業に悪影響を及ぼすと指摘。今や定められた販売時間によって「制限される」のが顧客側だからだと説明した。
例えば店側が午後1時59分にビールを1本販売し、顧客が午後2時5分まで店内で飲んでいた場合、法律違反に当たりその顧客が罰金を科される可能性もある。「これではレストラン業界の成長を妨げるだろう」と同会長は話す。
バックパッカーが集まることで知られるバンコクのカオサン通り沿いで、ある事業者は午前11時から翌午前2時までバー兼レストランとして営業している。公式に禁止されている時間帯に顧客が注文でき実際に注文していることを考えると、アルコール販売の管理は緩やかだ。
飲酒者が罰金を科される恐れがあることから、その時間帯のアルコール販売は半減するかもしれない。アシスタントマネジャーのボブさんは公に発言する権限がないとしてフルネームを明かさずに話した。
原題:New Thai Alcohol Rules Put Drinkers on the Hook for Fines(抜粋)
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