(ブルームバーグ):通信アプリ「テレグラム」を運営するテレグラム・メッセンジャーと関連する暗号資産(仮想通貨)トンコインの時価総額が27億ドル(約3890億円)減少した。同社のパベル・ドゥーロフ最高経営責任者(CEO)が逮捕されたことによる不確実性の高まりが反映された。
テレグラム共同創業者のドゥーロフ氏が、同アプリの犯罪利用を防ぐ措置を怠った疑いで、24日にパリ郊外のルブルジュ空港で逮捕されたとの報道の後、トンコインの価格は20%以上下落した。トンコインは、テレグラムが開発したブロックチェーン「ザ・オープン・ネットワーク(TON)」を使っており、暗号資産の時価総額で10位に入っている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、トンコインはシンガポール時間26日午前10時36分(日本時間同11時36分)現在、5.69ドルで取引されている。下落幅は若干縮小したものの、39歳のドゥーロフ氏の逮捕劇の結果、依然として16%安となっている。
TONは、パートナーシップを通じて月間9億人に上るテレグラムの利用者へのアクセス権を持ち、アプリ内決済やゲームなどのサービス提供を模索していた。

ドバイを拠点とするテレグラムは25日、デジタルサービス法(DSA)を含む欧州連合(EU)の法律を順守しており、ドゥーロフ氏には「隠すことは何もない」とのコメントを発表した。
ヘッジファンドDACMの共同創業者リチャード・ガルビン氏は、ドゥーロフ氏の勾留がテレグラムに長期的にどのような影響を与えるか「まだわからない」と述べた。DACMは、2023年初頭のプライベートラウンドでトンコインを購入した。ガルビン氏は、週末の市場の反応は「不確実性をトンコインの価格に取りあえず織り込んだものだ」との見方を示した。
コインゲッコーによると、トンコインの価格は過去1年で3倍以上になり、現在の市場価値は約144億ドルに上る。
各国政府は、テレグラムがコンテンツ監視で比較的緩い措置を取っていることで、犯罪を助長していると非難している。一方で、言論の自由の擁護者らは、テレグラムを開かれた議論の場として称賛している。テレグラムは暗号通貨コミュニティーでも人気があり、投資のヒントを共有する場などとして利用されている。
TONはX(旧ツイッター)で、イーロン・マスク氏らと共にドゥーロフ氏への支持を表明し、「パベルを自由に」「ドゥーロフ氏を自由に」とのハッシュタグを付けた。また、プロフィルのロゴを、インターネットやソーシャルメディアを活用してデモを行う「デジタル・レジスタンス」の象徴である「レジスタンス・ドッグ」に変更した。
原題:Telegram-Linked Crypto Token Sheds $2.7 Billion After CEO Held(抜粋)
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