(ブルームバーグ):米モルガン・スタンレーが過半を出資するモルガン・スタンレーMUFG証券がこのほど発表した2024年3月期決算によると、純営業収益は連続で過去最高益を更新した。同期に日経平均株価が当時の最高値を付けるなど、株式関連の収益増加などが寄与した。
発表によると、売上高に当たる純営業収益は前の期と比べて13%増の1358億円。10年に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と合弁を設立して以来、過去最高を前の期に続いて更新した。純利益も同0.4%増の327億円と11年ぶりの高水準だった。広報担当者によると、株式と債券の取引などによる収益の増加を反映したという。
米モルガンの日本法人トップでもあるモルガンMUFG証券の田村アルベルト社長は「デフレ終息、企業セクターにおけるダイナミズムの復活、安定した経済成長への回帰といった要因が債券市場や株式市場での売買高の回復に結び付き、弊社にとっても明確な業績向上の要素となった」と振り返った。
その上で「グローバルの投資家は日本市場および日本でのビジネス機会に強い関心を示している」と指摘。「投資行動をさらに活発化させる一助となるべく、引き続き日本市場に深くコミットしていく」との考えを示した。ブルームバーグの取材に対して先週、電子メールで回答した。
日本株市場は今月5日に過去最大となる下落幅を記録。グローバル投資家にとって今年に入り最も信頼できる株式市場の一つだった日本株が予想外の暴落に見舞われた。翌日には一転して10%超上昇。過去最大の上げ幅を付けるなど乱高下し、世界の投資家に対して日本が不安の中心地との印象を与えることにもなった。
ただ、田村社長は「デフレ終息と企業セクターにおけるコーポレートガバナンス改革やその他の改革施策などがついに結実し、日本経済に多大な力を与えている」との見方を示している。
決算期は異なるものの、モルガンMUFGの純利益は国内で事業展開する外資系証券会社の中で392億円を計上したゴールドマン・サックス証券(12月期決算)に次ぐ水準。3月期決算の企業では、BNPパリバ証券の純利益がコスト増もあり前の期比33%減の212億円。JPモルガン証券は同32%減の188億円だった。

今年1月には三菱UFJモルガン・スタンレー証券で手掛けていた機関投資家向けの日本株セールス業務、コーポレートアクセス、執行業務の一部およびリサーチ業務をモルガンMUFGに集約。田村社長は昨年のインタビューで、MUFGとの合弁証券2社合算の純営業収益ベースで国内首位の野村ホールディングスを上回ることに意欲を示していた。
一方、金融庁は今年6月、グループ内において無断で顧客情報を共有したなどとして金融商品取引法に基づく業務改善命令をモルガンMUFGなどに対して発出。行政処分を受けて三菱モルガンでは債券の引き受け業務で主幹事から外れるケースが相次いだ。モルガンMUFGでも処分による今期業績への影響が懸念される。
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