2日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=161円台後半で推移。前日の米国市場で先週の大統領選討論会を受けた長期金利の上昇が続き、約38年ぶり安値を更新した。東京時間は金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定にかけて円売りが強まる場面も見られる。

  野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、米大統領選でトランプ前大統領が勝利するリスクの織り込みとフランス政治の不透明感低下、原油高を背景に欧米長期金利が上昇し、低金利の円は売られやすいと指摘。今週に入って日本の通貨当局から特段の円安けん制発言がなく、「介入を警戒しつつも金利差を背景としたキャリー取引で円の安値を試す動きが出ている」と述べた。

  

  1日の円相場は、米長期金利の上昇を受けて先週末に付けた約38年ぶり安値161円27銭を下回った。米大統領選でトランプ氏優勢との見方から財政拡大とインフレ率上昇に警戒が強まっている。米供給管理協会(ISM)製造業景況指数は弱い内容となったが反応は一時的だった。仏下院選挙を受けたユーロ買い戻しも円の重しとなり、対ユーロで173円67銭と過去最安値を更新した。

  三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)の改善や7月の利上げ観測の高まりにもかかわらず、円売り需要が根強いとし、「何かしら対応しないと円安が長引くリスクが高まっている」との見方を示す。

  東京市場では通貨当局による強いトーンの円安けん制発言が警戒される上、過去1週間で159円台半ばから2円以上も円安が進んでおり、実弾介入の現実味も高まっている。野村証券の後藤氏は、「このレベルまで円安が進むと、実弾介入がどこで入るかに焦点が移っている」とみている。

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