大きく変わった人生の方向

佳代さんは現在、当時とは全く違う将来の夢を持っています。

佳代さん
「それまでなりたかった将来の夢とは、全く違うものになりたいって思うようになりました。こういう経験をしなかったら、出会えなかった職業の人や、見ることのできない現場をたくさん見ることになったので、おばあちゃんの事件があった後の私の人生は、大部分がこの事件に関係しているんじゃないかなと思います」

事件は佳代さんの人生の軌道を大きく変えました。被害者遺族は、大人だけでなく、子どももその後の人生に多大な影響を受けているのです。

家族の中でも異なる思い

祖母を突然失い、犯罪被害者遺族となった貴子さんの家族。家族の中でも、それぞれの思いは異なりました。佳代さんは、貴子さんと祖母の話を面と向かってできるようになるまで、かなりの時間がかかったと振り返ります。

佳代さん
「数え切れないぐらいけんかをしてきたと思うんですけど、お互いにおばあちゃんの話を出すと、触れてはいけないところに触れている感覚というか、一番自分たちの中で弱いところに触れることになるので、言いたいことを言えるようになるまでは、私の感覚ではだいぶ時間がかかったんじゃないかなとは思います」