「AYA世代」と呼ばれる若い世代のがん患者。がんの治療と同時に直面するのが妊娠するための力、「妊よう性」です。抗がん剤や放射線などを使うがん治療は生殖機能にダメージを与えるため、妊よう性が失われる可能性があります。当事者の思いや県内でも広がっている支援の動きを取材しました。

30歳の時に白血病を発症した男性:「診断されてから治療までの期間がものすごく短かったのですぐに治療が始まった。」

黒部市に住む男性です。8年前の30歳の時に白血病を患いました。治療がはじまり医師から生殖機能の温存、「妊よう性」についての話をうけました。

30歳の時に白血病を発症した男性:「妊よう性って言葉については全然知らなかったし、自分の体にどういう影響があるのか知識がないし、そんなことより自分の命のほうが大事なので。生きるか死ぬかのところで」「男性であれば精子の保存。女性であれば卵子の保存が必要になるよって話をうけて、その時は独身だったので精子保存しますってそこで初めてした」

たまごクリニック 上林大岳医師:
「ここにがん患者さんの精子と卵子を凍結しています。」

不妊治療を専門に行う金沢市の「たまごクリニック」。

厚生労働省によりますと、若いがん患者のうち、経済的な支援があれば精子や卵子などを凍結したいと希望する人は年間およそ7000人いるといいます。

クリニックの冷凍保管室ではマイナス195度の液体窒素の中でおよそ50人の精子や卵子が凍結保存されています。

たまごクリニック 上林大岳医師:「これで精子の状態を一度確認してここから遠心分離をかけて、いい精子だけを、動きのいい精子を集めて体外受精に使う」

黒部市の男性は将来、子どもを授かることを望み2回の精子凍結保存を行いました。

がんの治療から4年後の、34歳の時に結婚。凍結していた精子を使って体外受精を試みましたが妊娠には至りませんでした。

30歳の時に白血病を発症した男性:「パートナーは子供が欲しい、友達も子供ができていく中で自分もほしいってなって、2人で話をする中で結局お別れすることになった」

「僕結構子ども好きなんで子どもできないってことに関してはすごくショックですし、両親もショック。大好きな友達に囲まれて、今元気に過ごせているので今がよければいいかなと思って過ごしています」