各地の裁判で争点となっていた…

情緒不安定性パーソナリティー障害とは…。

情動が不安定で、感受性が大変強く、感情の起伏が激しいのが特徴で、空虚感や他人に見捨てられることを恐れる傾向にあります。対人関係は安定せずに、リストカットなどの自損行為を繰り返すなど、通常の日常生活が送るのも困難になります。

裁判は、被告が患う「情緒不安定性パーソナリティー障害」が犯行に与えた影響が争点です。越前被告は故意に火をつけたのか、それとも意識障害があったのか…。

「情緒不安定性パーソナリティー障害」をめぐっては、2021年6月、群馬県前橋市で、小学生の兄弟2人が刺殺された事件の裁判で、殺人罪に問われた母親の量刑について争点となりました。

この裁判の判決では、2人の子どもに対する内縁の夫の暴言などで母親が追い込まれ、心中するしかないとの考えに至った過程に、情緒不安定性パーソナリティー障害の影響が認められるとしたのです。そのうえで裁判長は「くむべき点はあるが、結果は重大で、反省も十分ではない」として、量刑上大きく考慮することは相当ではないと判断。懲役15年の求刑に対し、懲役10年の判決を言い渡しました。

一方、2021年2月、徳島県徳島市でアパートの空室に火を付けたとして非現住建造物等放火罪に問われた女の裁判では、犯行後に自首していることに加えて「情緒不安定性パーソナリティー障害」などの影響から「ストレスに対処しきれなくなると短絡的な行動に走る傾向がある」として、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の判決が言い渡されています。