48歳の女はなぜ自宅に放火したのでしょうか?
富山県高岡市の自宅を放火し、隣接する2棟の住宅を延焼させた事件。被告である“失声症”の48歳女の裁判員裁判は、被告の証言が“筆談”で進められる異例の措置が取られています。
2月16日の裁判には、女の精神鑑定を行った精神科の医師が証言台に立ちました。被告が抱える「情緒不安定性パーソナリティー障害」が事件に影響を与えたのかどうか…医師はどう答えたのでしょうか。
越前寧美被告:「自分は日本のゴミだ。生きている資格がない」

精神鑑定をした医師との面談で、繰り返しこう話したという越前寧美被告(48)。16日の法廷には、これまでと同じように黒いスーツにメガネをかけ、髪を束ねた姿で法廷に現れました。

事件があったのは2021年11月、越前被告は富山県高岡市の自宅を放火し、隣接する2棟の住宅も延焼させた現住建造物等放火の罪に問われています。

富山地検は越前被告について3か月あまりにわたって精神鑑定を行い、刑事責任能力があると判断し、起訴していました。
16日の裁判では、検察側の証人として被告と6回にわたって面談をした富山市民病院の精神科医・長谷川雄介医師への証人尋問が行われました。

これまでの裁判で越前被告は、事件の1か月前、唯一の心の拠り所だった愛犬「ハグ」が死に、新しい犬を買ってほしいと両親に頼みますが、近所の人に反対されたことで、ストレスが限界に達したという証言をしていましたが…。
精神鑑定をした長谷川雄介医師:「犬が欲しいという欲求があまりにも強いため、これまで近隣住民から注意を受けたことを思い出し、自己不全感から衝動性が急速的に高まり、火のついたマッチを物置に投げ入れるという行動爆発を起こした」
「行動爆発」とは、感情が抑えきれず、強い怒りが湧き起こり、カッとなって器物破損や暴行などの行為を行うことを言います。

長谷川医師:「行動爆発は一般の人でもおこりますが、私の言葉で言うと、健常者の人は耐えられるが、情緒不安定性パーソナリティー障害の人は我慢するのが耐えられません」