統合失調症とASDの兄弟育てた両親の心情…

この裁判では、両親の陳述書も読み上げられ、統合失調症とASDの兄弟を育てた両親の心情も明らかにされました。

父親の陳述書:「何年刑務所にいても(兄の)丈治はよみがえらない。うれしいこともつらいことも乗り越えて育ててきた丈治を突然亡くした」「幼いころから(兄は)精神が不安定で、弟より手を焼いていた。2人を平等に接しようとしたが、手間のかかる丈治の方に…。もっと(弟の)春樹と対話をして距離をつめていればと後悔している。丈治を守ってやれなかったことを毎日悔やみ続けている」

母親の陳述書:「2人の子を大切に思ってきた。春樹を許すことは到底できません。喧嘩をしても仲良くしていると信じていた。なんて残酷でひどいことをしたんだと思った。丈治はやさしい心と大切な命の宿った人間なのです」「他人の心を考えられないのが自閉症スペクトラムですが、他人の気持ちをはかる努力をして、長い時間をかけて人間の命の重さを考えてもらいたい」

そして1月31日、弟の髙畠春樹被告に言い渡された判決。そのあと、細野高広裁判長が法廷で被告にかけた言葉は…。

細野裁判長:「これから長い間、刑務所で暮らすことになります。お兄さんのかけがえのない命を奪ったことについて考え直してください。お父さん、お母さんに反省の気持ちが伝わるようになることを願っています」。

“両親への気持ちが伝わるように”という言葉。量刑も兄弟の双方に精神障害があったことを考慮したものでした。