展示の“被災物”に「語らせる」手法を取り入れる
炊飯器には、こんな言葉が添えられています。
炊飯器「お盆とお正月は こどもが孫連れて帰ってくる やっぱり8号炊きは 必要なの涙でたね」
床板「ガガそんなもの 拾ってくんなっつもの おれは捨てねぇ 家の形見だもの」
これらは、持ち主から聞き取ったものではありません。収集しながら自然と湧いてきた言葉でした。学芸員として地域の人々と暮らしを調査研究し良く知っていたからです。こうした創作を交えた展示方法についても専門家らから「捏造ではないか」などと非難の標的にもなりました。
山内宏泰館長:「ストーリーがなければただ単に物体。これにはこういう背景があることを見せていくしかない」
山内さんのモノに語らせる手法は、震災や原発事故の伝承の現場に影響を与えています。