「私たちも死ぬまで罪を償います」

続いて事件当時の佐藤被告の生活について検察官が質問した。

検察:「被告にお小遣いなどは渡していたか?」
元妻:「月に二万円渡していた。必要ないと言われれば渡していなかった」

裁判官:「事件発生から逮捕までの間、被告の様子に変化は感じたか?」
元妻:「変化は感じなかったが、思い返せばお小遣いの催促が少なくなったかもしれない」

裁判官は、元妻の胸中を尋ねた。

裁判官:「被告に伝えたいことはあるか?」
元妻:「とにかく家族のことを考えてやってしまったのではないかと、逮捕の時からずっと考えていた。夫に申し訳ない気持ち。どうして本当の気持ちを伝えてくれなかったのか。あなたが罪を償い刑を受けるのだから、私たちも刑を受けます」
裁判官:「裁判官に伝えたいことはあるか?」
元妻:「家族である私たちも一生、死ぬまで罪を償うつもりです。直接遺族の方にお詫びすることもできなくて、本当に申し訳ありませんでした」

元妻が証人尋問に立っている間、被告が眼鏡をはずし、涙を拭う場面が度々あった。元妻が退廷した後、佐藤被告に対する被告人質問が始まった。