糖を摂取した1時間後の血糖値が一定の基準を上回っている人は、普段の血糖値が正常範囲内でも心疾患やがんを発症しやすく死亡リスクが高いことが、東北大学病院などのグループの研究で分かりました。

これは、23日に東北大学病院と東北大学大学院、東北医科薬科大学、帝京大学などの研究グループが発表したものです。

研究グループは、岩手県花巻市の大迫町で1986年から一般住民3000人を対象に行われている健康調査研究のうち、ブドウ糖入りのジュースを飲む前後の血糖値の変化を調べる検査=「ブドウ糖負荷試験」を受けた595人の結果を分析しました。もともと糖尿病や糖尿病予備群の人は対象から外しています。
(※糖負荷試験とは…糖尿病の診断に用いられる検査。通常は75gのブドウ糖入りのジュースを飲む前と飲んだ“2時間後”の血糖値が診断に用いられる)

分析の結果、ブドウ糖を摂取した1時間後の血糖値が、1デシリットルあたり170ミリグラム以上の人は170ミリグラム未満の人よりも心疾患やがんを発症しやすく、死亡リスクも高まることが分かりました。

東北大学病院 今井淳太特命教授:
「観察開始後20年のところで見ると、血糖値170ミリ未満では、約8割の人が生存している。これに対し170ミリ以上の人たちでは、5割近くの人が亡くなっているという大変大きな差が認められた」

この検査で血糖値が高い傾向にある人は、普段の血糖値が正常範囲内(糖尿病や糖尿病予備群ではない)であっても病気のリスクが高くなることが分かりました。研究グループは、早めに健康診断などを受け病気を発見または予防することが、健康寿命を延ばすことにつながると指摘しています。そのうえで、今後糖尿病の診断をする際には糖負荷試験の1時間後の血糖値を考慮することが必要だと提言しています。

現状、糖の摂取1時間後の血糖値が高くなる理由やそのメカニズムは分かっていません。研究グループは今後、血糖値が上がるメカニズムを解明し、病気や死亡のリスクを抑える方法を探る方針です。