もともと印刷会社の営業として働いていた戸部さんは、得意先の農家を回るうちに生産者と消費者をつなぐ場が必要だと思い立ち10年前に脱サラして移動販売の仕事を始めました。

軽自動車に食品を積んで各地を回るうちにあることに気付きました。
戸部商店 戸部久さん:
「さつま揚げを販売してたんですけど、毎週2パック買うお父さんがいたんですよ。『お父さん飽きない?』って聞くと『うまいから飽きない』。長野県にも作ってるところとかあんまりないから、これ作ってみたらどうかなと思って」
試行錯誤の末、およそ1年で「信州あげ」を完成させ、全国蒲鉾品評会で入賞するまでになったのです。
品評会には北海道から沖縄までのおよそ800品目が出品されましたが、県内からは戸部商店のみでした。
日本かまぼこ協会 荻原正明専務理事:
「珍しいは珍しいですね。今回も、あの賞を取った中では、みんな海のあるところですから、海のないところからの賞はこれは珍しいです」
信州あげは、味や食感のほか独自性が高く評価されました。

日本かまぼこ協会 荻原正明専務理事:
「内陸でも作るんだぞって言ってですね美味しいものを提供するんだっていうね、そういう意欲っていうのは、非常に尊敬しますよね」
信州あげは、自身の店の店頭や一部の農産物直売所にも並べていますが、メインは移動販売です。
3台の移動販売車が毎日、松本市や近隣の市町村を回っていて「信州あげ」もコンテナに積み込んで出発です。
この日は、上伊那方面へ。
戸部商店の移動販売は一軒一軒、お得意さんの家の前に止まっては店を開く方式です。