少子化が進む日本。
全国で2022年に生まれた赤ちゃんの数は、前の年より4万人余り減って、77万747人。初めての80万人割れです。
少子化は、命の誕生に向き合う産科医療の現場にも、深刻な影響を与えています。
松本市の西部、旧波田町(はたまち)にある松本市立病院。
午前9時過ぎ、帝王切開の手術が始まります。
執刀する塩沢功(しおざわ・いさお)医師。
オペ室の前で、静かに準備が整うのを待ちます。

■塩沢医師
「手術の手順を頭の中で繰り返しながら、どんな出来事が起こるかなるべく予測しながら」

この病院で2022年度にあった分べんの2割ほどが帝王切開でした。
胎児の異変に備え、手術には、小児科の医師も立ち合います。
手術開始から10分あまり。

女の子の元気な泣き声が上がりました。
■塩沢医師
「ドラマティックな劇的な瞬間ですからね。非常に幸せな手術ですね。時と場合によりますが」
前身の病院時代から、実に68年にわたって産科診療を続けてきた松本市立病院。

しかし、今年、廃止を検討せざるを得ない事態に直面しました。