昭和7年に木祖村で生まれた澤頭さんは高校時代から木曽の歴史や文化に興味を持ち、郡内各地の小学校で教諭を務めた後は、郷土史家として木祖村の村史編纂にも関わりました。

■澤頭さん
「いつかまた役に立つっていう、そういう気持ちもありますしね。こういうものがおのずと集まってきちゃって、置く場所がなくなっちゃうからあっち置いたり、こっち置いたり…どこ置いたかなんて思い出すことが結構あります」

本棚の手の届く場所に墨字で書かれた紙が何枚も貼られていました。
メモでしょうか。

「参考にちょっと貼っただけで別に意味はないですけど」
「これなんか(笑)『物忘れは年のせいではない。我はいくつになっても頭脳明晰と信じる』はっはっはっ!(笑)勝手に自分で決めてる」
その中に、気になるメモを見つけました。


■澤頭さん
「図書館のない町村は全国で51%。半分は持ってないんですね。だから、そういうものはできるだけ作った方がいいじゃないかっていう。アピールも…村全体が文化的な価値を持つとか、関心を持つという、それだけでもね いいと思います」
天気がいい日には近所の人も立ち寄り、気になった本を手に取ったり好きな作家について話を咲かせたりと賑やかです。

■近くに住む女性
「木曽のこと調べたければここへ来れば全部わかる。先生もよくまとめたもんだよ。だから先生の集大成。」
■澤頭さん
「やっぱり、人が来るっていうことは嬉しいことだね」

(これから何かやりたいこととか、これどうするかってありますか?)「いやぁ もうあんまりないね。先が短いでね」

そう笑って話す澤頭さんですが、だからこそ自分が集めてきたものを多くの人に見てもらい、参考にしてほしいと願っています。
90歳の元小学校の先生が開いた「さわ文庫」。
晴れの日は原則開いていますので、木曽路の旅の途中立ち寄ってみてはいかがでしょうか。