飛行場の跡地を巡るウォーキングイベントです。ルートの途中には、飛行場の歴史を伝える看板を設置しました。
信州大学工学部 建築学科 寺内美紀子教授:「何とかその残っているものをうまく利用して、何か飛行場の姿とか飛行機の姿を感じられるようなものにできないかと思った」

建築設計や街づくりが専門の信州大学工学部・建築学科の寺内美紀子教授。寺内教授の研究室ではデザインの力をいかして、地域が抱える問題や課題の解決に取り組んでいます。
看板は学生たちが制作。飛行場の歴史もまとめ、イベント当日に展示します。
学生:「滑走路の部分とか残っていてびっくりした」
学生:「戦争遺構という、昔こうだったんだよって少しでも伝えられたら」
寺内教授:「教科書だけで知る戦争ではなくて自分の地域にもあった戦争の歴史っていうものも知っておくべき」
3月下旬、住民などおよそ70人が参加したイベントで、看板が披露されました。

完成した看板は、飛行場の形をいかしたデザインです。
寺内美紀子教授:「ここに滑走路があって飛行機があったんだということを実感してもらいたくて、のぞき込む看板を考えました」
そして、飛行場の跡地を巡るウォーキングがスタート。
地域の歴史を学生が紐解きます。
学生の案内:「うしろ見てもらえればわかる通り、直線の道路が続いていると思います。こちらが長野飛行場の直線の滑走路になります」
学生の案内:「ここだけ緩やかに曲がる道路が残っています。ここが飛行機が旋回した場所になります。カーブも緩やかです。それがまだいまも道路の形として残っています」

熱心な説明が、参加者の記憶を呼び覚まします。
参加した女性:「あたしは学校でね遠足に来たの。そのときわかんなかったから説明もなかったから小学校だから、いまよくわかりました」「ほんとですか」
学生:「ここの位置に立ってみると、ちょうど重なる部分ができるので、ぜひ皆さんもこちらに立って見てみてください。ぜひどうぞ」
飛行場の入口だった門の前。学生が用意したのは、訓練用の飛行機をデザインした透明の板です。いまの景色にかざすことで、飛行場の大きさを実感してもらいます。
参加者:「この辺に駐機していたんだね」「これは初めてだな。わかりますね、飛行機。なるほどねありがとうございます。いいアイディアだね」
住民の心に、飛行場の風景と戦争の記憶が重なります。
参加した男性「終戦(直前)の長野空襲に遭ったのは知っています。2機でいきなりバリバリってきましたよ。隣りの土蔵へ逃げ込みましたね。やっちゃいけないですよね、戦争は」
寺内美紀子教授:「知れば皆さん少なからず子どもたちも近所の方々も衝撃を持って受け止めてくださる。率直に感じることがまた次にいろんな話を次の世代に伝えてくれるきっかけになるんじゃないかなと」

参加者全員で飛ばした紙飛行機。戦争のない平和な世界を願います。
参加した男性:「戦後80年っていうけどさ、本当に昔を思い出したわ。飛行場で遊んだこともあるし懐かしく思い出しました。戦争はいけない。世界から戦争はなくしてほしい」
芹田地区の商工団体ではこれからも飛行場の歴史を伝える活動を続けたいと話しています。