妻を殺害した罪に問われている元県議の裁判です。
14日の法廷では、4つのテーマの最後=「事件前後の被告人の言動」はどう解釈できるのかについて、検察、弁護側がそれぞれまとめの意見を述べました。

塩尻市の元県議・丸山大輔被告は3年前、自宅を兼ねた酒蔵の事務所で、妻の希美(のぞみ)さんを殺害した罪に問われ、裁判で無罪を訴えています。


事件の前の夜、丸山被告は長野市の議員会館で同僚議員と酒を飲んでいましたが、翌日の一般質問の準備をすると言って自分の部屋に戻りました。

14日の裁判では、一緒に酒を飲んでいた議員2人への証人尋問を踏まえて、検察と弁護側がそれぞれまとめの意見を述べました。

主張が対立しているのは「アリバイ工作の有無」です。

検察側は、塩尻市の自宅で妻が殺害された時間帯に、丸山被告が議員会館にいたというアリバイ工作をしたことが認定できると主張。

一方、弁護側は、被告が自宅との往復で飲酒運転をすることは考えられず、アリバイ工作の事実も証拠もないと主張しました。

これに関連して大きな争点となったのが、翌日に迫った県議会で使う一般質問の原稿が、完成していたかどうかです。

議員会館で同僚議員と酒を飲んでいた丸山被告は、「一般質問の準備をする」と伝え、午後9時半すぎに自室に戻ったとされています。

検察側が解析した丸山被告のパソコンの操作状況によりますと、丸山被告が原稿のファイルに最後に入力したのは事件前日の未明で、それ以降は一文字も書き込んでいませんでした。


この時点で原稿は4000文字以上入力され、内容を含めて完成していたと指摘しています。

部屋に戻った被告は、パソコンを立ち上げて、USBメモリを挿入したものの、原稿ファイルを開きませんでした。

ファイルを開いたのは、翌朝、犯行時間帯が過ぎた午前5時すぎで、この時も文字は入力せず上書き保存をしただけでした。

検察側は、原稿が完成していたのに同僚議員に「未完成であることを強調」し、自分の部屋で原稿を作成していたように見せかけるアリバイ工作だったと主張しました。

一方、弁護側は、議会の一般質問の最後に自分の意見を述べる部分が書き込まれておらず、原稿は完成していなかった。

部屋に戻った後は、パソコンを使う以外にも原稿の作業をしていて、構想がまとまったため、就寝したと主張。


また、大前提として飲酒運転が発覚すれば県議の地位を失いかねず、リスクの高いことを計画・実行するはずがないと主張しました。

裁判は、これで4つのテーマで行われてきた審理が終了し、19日からは、2日間にわたって丸山被告本人への被告人質問が行われる予定です。