提供を始めた背景には村の活気の少なさがありました。

半戸寿子さん:
「こうやって見ても人通りないじゃないですか、寂しい。人と接したり話したりした方が…」
広瀬貞子さん:
「あそこもつい最近までお店やっていたがやめたし、その向こうに中華料理屋もあったが(やめて)何年にもなるね」

年々、人口減少と高齢化が進む栄村。

村の人口は、2017年に2000人を割り、この20年で1000人以上減りました。

人口減少と同時に、高齢化率は10ポイント以上上がり、55.3パーセントに。

村民の2人に1人が65歳以上の高齢者です。


2023年は7人、年に10人前後という出生数の少なさと、自然減による人口減少。

村の過疎化に拍車をかけるように起きたのが、13年前の県北部地震です。

2011年3月12日の未明、長野と新潟の県境付近を震源とする、震度6強の揺れが栄村を襲いました。

災害関連で3人が亡くなったほか、家屋の全壊は33棟、半壊は169棟、一部損壊は492棟と全世帯の7割以上が被災しました。

広瀬さんも被害を受けた1人でした。


広瀬さん:
「ものすごかった、あの日の揺れは体験しないとわからないと思うが、ベッドの上で跳ね上がるような感じで、物もみんなバーッと落ちてすごかった」

多くの住民がリフォームや建て直しで自宅を再建した一方、震災後の1年間で、27世帯・87人が村から離れました。

広瀬さん:
「あの時はやっぱりみんな頑張って直したが、もう一回来たらどうかなって、もう住めないとか思う人もいると思う。私自身も家がぜんぜん住めなくなればここに…どうだろうと思う。でもどこに行くといってもね…」

地震の後、しばらくして駅の建物内にある交流館の運営を担ったのが、栄村物産センターです。

センターの従業員だった半戸さんなどは駅の業務を請け負いながら、数年前にランチ営業でうどんを始め、気が付いたら総菜の品数が増えていたといいます。