「こんにちは。初めまして、ありがとうございます。きょうは寒かったでしょ。すみません携帯なんて触って…ははは」

小芝居で取材スタッフを笑わせる女性。

熊本市の山本栞奈(かんな)さん、25歳。全身の筋肉が衰えていく進行性の難病を患っています。栞奈さんの意志で病名は公表していません。

起き上がることも、自分で食事をすることもできず、5年ほど前からほとんどベッドの上ですごしています。24時間のケアが欠かせませんが、障害年金を受け一人暮らしをしています。

山本栞奈さん「いままで児童養護施設、そのあと、自衛隊、病院生活が長く施設と、ずっと集団生活で…」

家庭の事情で5歳のころから熊本市の児童養護施設で過ごした栞奈さん。いま、病気を見てくれる家族はいません。

高校卒業後は自衛官として仕事をしながら看護師を目指していました。

栞奈さん「自衛隊の中の看護師の試験を受けて、1次は通って、2次を受けようと思ったときに、やっぱり体調良くないなということで入院して…」

突然、異様な疲れなど身体に異変を感じた栞奈さんは自衛官を辞め入院。

難病と診断されましたが、手助けしてくれる家族はいないため、病院や障がい者施設を転々としていました。

そうしたなか去年、ずっと目標だった一人暮らしを始めました。

栞奈さん「一人暮らしって自分のために来てくれるヘルパーさんや訪問看護師さんの手厚いケアをずっしり感じて…一対一の時間が私は楽しみだから」

ずっと集団生活だった栞奈さんは、一人暮らしを通じて人のぬくもりを感じています。