「速度計」と「運転士の肌感覚」専門家の見解
熊本市交通局では、運行している車両(全45両)のうち19両に速度計を設置していて、設置率は約42%です。速度計がない車両の速度は「運転士の肌感覚」によって制御しています。
鉄道の安全管理に詳しい関西大学の安部誠治(あべ せいじ)名誉教授(72)は「速度計を設置せず、速度制御を人間の感覚に任せるのは、安全管理上、適切ではない」として、早急な設置が望ましいとしています。

また、路面電車に速度計の規定がない理由については「路面電車は100年以上の歴史があり、現代とは異なる交通事情の中で導入された規制が、現在も残っているためだろう」と分析しています。
他の都市では?全国の事業者に聞く
RKKは、全国で運行されている路面電車のうち12の事業者に「速度計の設置状況」を取材しました。
他にも「後付けした車両があるか」や、速度計がない車両がある場合は「速度の判断方法」「車両の運行条件」など、合計4つの項目について確認しました。
そのうち、未回答の項目も含めて9事業者から得た回答と、熊本市電の状況は以下の通りです。
「路面電車」10事業者と「速度計」の設置状況

【熊本市交通局】約42%(45両中19両)
運転士の肌感覚
【長崎電気軌道】約15%(68両中10両)
運転士の感覚で判断 感覚の維持修正のため速度感養成研修を毎年実施
【鹿児島市電】約54%(55両中30両)
技能教育訓練において、速度観測・制限の訓練を実施 速度の判断ができるようにしている
【広島電鉄】「設置割合は非公表だが、設置していない車両もある」
【富山地方鉄道】約67%(30両中20両)
経験則で判断
【札幌市電】100%(36両)
【函館市電】100%(32両)
【宇都宮ライトレール】100%(17両)
【東京都電 荒川線】100%(33両)
【とさでん交通】非公表
速度計の設置率が「100%」と回答した事業者のうち「東京都電 荒川線」を運行する東京都交通局や、「札幌市電」を運行する札幌市交通事業振興公社は、「後付けで設置した車両もある」と回答しています。