
Aさん「親たちからもおろしなさいと言われる。経済的な問題ですよね。言われすぎて正直おろそうかと考えた時期もありました。でも22週超えてもうおろせなくって。だったら産むしかないと。(Q妊婦検診は定期的に行っていた?)全然行っていない。行くってなったときにお金が無かったり、コロナが増えたりしていたから。誰かに頼るしかないけど、誰に頼っていいか分からない状態でした。ここに入って良かったなと思いました。安心したし沐浴を教えてもらえたので」
ママリズム・大島千代副所長「私たちのような支援をしてくれるところがある。1人で悩まないで電話してほしい。頼ってほしい」
ママリズム・大島修二所長「地域全体で支援する形づくりが必要かなと思う」
◆問われる「連携」の水準、突っ込んだ議論はあった?
武蔵野大学看護学部の中板育美学部長は、特定妊婦を支えるために各機関の情報共有と連携が必要不可欠だと考えている。

武蔵野大学看護学部・中板育美学部長「虐待の死亡事例の検証の報告書はいっぱい出ていますが、ほとんどが情報共有、連携協働の不足です。医療機関、児童相談所、市町村がしっかりと連携して、情報を出し合った上で家族の状態をきちんと評価することが必要です。改正児童福祉法によって、特定妊婦の支援ができるようになったにも関わらず、そうなっていないのが大きな問題です」

有識者の検証部会は、生後7か月の新大ちゃんが死亡した要因の1つに大野城市と児童相談所の情報共有が適切に行われていなかったことを指摘する。報告書には次のような記載が盛り込まれた。
「市は家庭環境の変化を把握した時点で、速やかに児童相談所にその事実を報告し、実務者会議ではなく、個別ケース会議を開き、援助方針の見直しを協議すべきだった」

武蔵野大・中板学部長「子供が少ないのに虐待が増えている。状況を考えれば、子供を守るための専門家はもっと必要。特に予防は裾野が広いわけですから。予防に携わるしっかりとした人材を確保することが大事です」
新大ちゃんのような事件を減らす鍵は、「予防」にどれだけ人材をあてられるかだと中板学部長は訴える。たとえ行政が最善を尽くしても、失われては意味がない。母親の孤立を防ぎ、幼い命を守る実践的な仕組みづくりが急務だ。







