「倒れた日、朝の夫の顔色はどす黒くて、青ざめているのか、とにかく顔色が悪かったです。きっと前の日一睡もしてないんだなっていうことが顔色だけで分かりました」安徳晴美さんは、夫・誠治さんとの最後の朝の記憶をそう振り返る。

2002年1月19日、寒い冬の朝。

福岡県内の県立高校で英語教師を務めていた夫は、担任する3年生を大学入試センター試験に引率するため、午前6時30分に自宅を出た。

振り向いて告げた「今日は帰って来れないんだよ」という言葉が、夫婦の最後の会話となった。