「遺棄していません、無罪です」

小柄で、黒く長い髪をひとつにまとめ、マスク姿で出廷したグエット被告。通訳者を介して「まったく違います。遺棄していません、無罪です」と起訴内容を否認した。裁判長から「投棄はしていない?」と確認されると、「そうです」とはっきりと答えた。

検察側「男児をごみと一緒に処分しようと…」

冒頭陳述で検察側は、「誰にも知られずに男児の遺体をごみと一緒に処分しようと考え、キッチンばさみでへその緒を切断し、遺体をビニール袋に入れてごみ箱に捨て、さらにごみ箱を覗き込んでも遺体が見えないようにケーキが入っていた空き箱を被せた」と主張した。

検察側が説明した事件の経緯と状況

検察側は事件の経緯や状況を次のように説明した。

【2023年7月】グエット被告が食品製造会社で技能実習生として働き始める。

【2023年12月】グエット被告は自分が妊娠していることに気付いた。勤務先に相談するとベトナムに帰国させられるかもしれないと思い、妊娠したことを周囲に相談できなかった。

【2024年2月2日】グエット被告は博多区の勤務先に出勤したが、勤務中に腹痛に耐えられず午前10時ごろ早退。交際相手の家に帰宅した。
その後、トイレで男児を出産した。死産だった。
夕方、交際相手が帰宅すると、グエット被告がリビングの床に横たわっていた。服や床は血で汚れていた。交際相手は知人とともにグエット被告を病院へ連れて行った。
その後、被告は別の病院へ緊急搬送された。
グエット被告は病院を訪れた技能実習生を支援する組合の職員や警察官に、男児をごみ箱に捨てた旨申告した。
警察官がその後、交際相手の家のごみ箱内から男児の遺体を発見した。